All Things Must Pass

10代の頃、成人式が大嫌いだった。
着飾ってはしゃいでいる奴らを見ると
反吐が出そうだった。
親の金で着物なんか着てるのに、
「今日から大人でーす」とか馬鹿じゃ
ねえかと思っていた。


なので自分が成人した時も式には
出なかった。親は成人した姿を
見たかったらしいが、頑なに拒否した。
「せめて写真を」と言うので、大学に
入った時に買ってもらった背広を着て、
家の前で写真を撮った。
それすら不本意だったので、今その
写真を見ると随分不機嫌な顔をしている。


当時の事を思い出す度に、「そういう
とこが子供なんだよな」と言いたくなる。
その後何度も何度も繰り返した過ちだ。
両親の気持ちを何も考えてない。
自分の事だけ。式に出たり写真撮ったり
するだけじゃねえか。それで崩れるもの
なんか何も無えよ、と。


でもまあ、それで良かったのだ。
当時の自分に言ってやりたい。
「馬鹿だな。でも、やっといて良かったな」


そんな訳で(どんな訳だ)、本日誕生日です。
56歳になりました。


30代の後半から40代半ばにかけては
とても楽しかった。考え方も落ち着いてきて、
「このまま穏やかに生きていけるかな」
と思っていた。ところが50代に入った途端に
色んな事が崩れて混乱したのである。


20代後半から30代にかけての今思い出しても
情けない、みっともない自分が帰ってきた。
先日、年末最後のブログを数年分読み返して
みたら、毎年自己嫌悪に陥っていた。
なのに「少し良くなってきた」みたいな事を
毎年ほざいていて、思わず笑ってしまった。


半面、確実に老いてきたなと感じる部分も
あって、そこになかなか対応できなかった。
今まで感じたことの無い、とても深くて
先の見えない不安に襲われたのである。


今は少し落ち着いたけれど、
「やっといて良かったな」とはまだ言えない。
でも、そうなればいいなと思っている。
とか言って、今年の年末もまだグダグダ
愚痴っていたりして。やだやだ。