ウラシマ2020

朝、久しぶりに駅からバスに乗った。
座席に座って周りを見渡すと、
いつもこう思う。
「この中で僕が最年長だな」


この時間に乗っているのは殆どが高校生。
僕の母校の生徒が殆どだから見慣れた
制服ばかりで、何だか不思議な気持ちに
なる。
「タイムスリップしたみたいだー」
とか思ったりして。してませんけどね。
僕一人が老いただけなんですけどもね。


「早いものだ。僕からすると子供の世代の
人達がこの制服を着てるんだな」と思って
すぐに、頭を振った。
何言ってんだ。もう、子供の年齢じゃないよ。
孫の方が近い。


そもそも、今お世話になっている研究室の
学生達だって、子供と言うには無理がある。
僕はもう、親の年代では無い。ジジイである。
おいおいおい、いつの間にこんな所まで
来てしまったのだ?


昼休み、食堂に向かいながら不思議な気持ち
になる。この景色この空気、何にも変わって
ないのになあ。俺だけ歳を取っちゃった。
あ、思〜えば遠〜くへ来た〜あもんだ〜♪
(この歌だって、今どれだけの人が知ってる
やら)


蕎麦を急いで食べて、実験に戻る。
もうすぐ半年だけれど、岩手に帰ってきた
実感が無い。長めの帰省みたいだ。
ここ数年、そんな事が何度もあったから、
余計にそう思う。
いま僕はどこにいるんだろう?
(あと5ヶ月で、53歳だよー)