ひとりぼっちのあいつ

バイトから帰って酒飲んで、「そう言えば今日はジョン・レノンの命日だ」
と思い出す。早速取り出してきたCDが「Plastic Ono Band」で、
いきなり「マザー!!!」と歌い出した。いやいやいや。
ちょっと今の気分ではない。


ジョン・レノンと言うと、人はすぐに「愛と平和」だの言い出す訳だが、
ちょっと待ってくれいと思うのである。
僕にとってはまず、圧倒的なソングライターだ。魅力的なメロディ・
メーカーで、たった1つの言葉で人の心を撃ち抜く詩人だ。


「Because」という美しい曲がある。その中でこういう歌詞がある。
「空が青いから、僕は泣きたくなる」
中学生くらいの頃にこの歌詞を読んで、叫びたいような、泣き出したいような、
何とも言えない気持ちになった事がある。


そして底知れぬ魔力を持つパフォーマーでもある。まずはその声。
淡々としていながら、まるで宗教家のように人の心を掴む。
「Strawberry Fields Forever」や「Tomorrow Never Knows」を
聴くと分かる。呪文のように心を捕らえる、独特の周波数を持っている。


かつ僕はギタリストとしても大好きだ。派手なソロは弾かないけれど、
とても魅惑的なリズムギターを弾く。例えば「Help!」や「All My Loving」。
バンドの温度を、確実に上げる音だ。


なあんだ。要は「圧倒的な音楽家」って事じゃないか。
あの豊穣な音楽を、聴いた事のない人にぜひ、聴いていただきたい。
下らない前情報抜きにね。


でも実は僕、ジョージ・ハリスン派なんだけどねー。