さよなら殿下

昨日の朝、プリンスが亡くなった事を
知る。「嘘だろ!」と叫んだ。
いまだに信じられない。
高校時代から聴いてきた、数少ない、
リアルタイムで見れた天才音楽家
とてつもない質と量の音楽を、40年
作り続けた人。


ライヴも2回観た。CDでのプリンスは
すごく神経質な完全主義者の印象が
あったが、ライヴでの彼は非常に温かい
音を鳴らす人だった。CDでは鳥の首を
絞めた時みたいな神経質なシャウトも、
残酷なまでに美しいピアノやギターも、
実際はソウルフルで温かい音だった。
客のちょっとした声援に喜ぶ様とか、
良い意味で印象が変わった。
広い会場でも、一対一で聴いてる気分に
なれる、数少ない音楽家だった。


もちろん演奏は完璧で、どんな楽器も
見事に鳴らす。ユーモアもある。
でもそれ以上に、心のこもった音を出す。
「一人」である事の寂しさも喜びも、
全てが奏でる音に表れている。
僕は彼の音楽が大好きだった。


参ったなあ。ほんとに参った。
僕は彼が70歳になった時の音楽を楽しみに
していたのに。きっと誰も見た事の無い
世界を見せてくれた筈なのに。
当然聴けるものだと思ってたが、もう
聴けない。世の中は、そうそう上手く
行かない。


時間が経つにつれて喪失感が増していく。
これは自分の想像を超えたもので、
ちょっと手に負えないのです。参った。