ひとつずつ

昨日は父の一周忌だった。
本来は一月末に行うのだが、年末年始で
皆さん、お寺も含めて忙しいのと、
僕の運転技術では真冬に峠を越えて
お寺のある岩泉まで行くのはまだ厳しい
だろうという事もあって早めたのだ。


母と、叔父二人を乗せて朝早く岩泉へ。
従兄弟が住職を務めていて、いずれは
ここにお墓を建てる予定である。
無事一周忌が終わり、会食をして、
しばらくみんなで話した後、3時前に
お寺を出た。


叔父や母が乗っている事もあり、運転は
最初のうちこそ緊張していたが、徐々に
慣れてきた。最後の方は運転を楽しむ
余裕も出てきて(!)、自分でも驚いた。
油断は禁物だが、これからはもっと気軽に
通えると思う。


5時頃盛岡に戻り、叔父を送って、
家に戻る。荷物を全て下ろして車のドアを
閉めたところでふと思った。
「親父はもう居ないんだな」
その途端に涙が止まらなくなった。
しばらくの間、声を出して泣いた。


葬儀の辺りから泣くのを我慢するように
なっていた。喪主としてやるべき事が沢山
あるので、泣いていられなくなった。
いや、そう思うようにした。


そうやって抑え込んでいるうちに、
今度は泣けなくなっていた。自分は何と
冷たい、薄情な人間なのだろうと思った。
父が見たら悲しむだろうな。この先も
ずっとそうなのだろうか?
数日前から考える事が色々あって、
法要でも新たに思い出すことがたくさん
あったのだが、涙は出なかった。


複雑な思いで一周忌を終えたが、家に
帰ったところでようやく父を失った事を
実感したのである。
驚いた半面、少し安心した。
抑え込んでいただけだったんだな。


今日は午後から大学に行き、少し実験
してきた。毎週、工程短縮の為に短時間
だけ休出しているが、「待てよ」と思った。
短縮した分、新しい工程を増やしているな。
結局いつまで経っても仕事が減らないじゃ
ないか。キリがないな。


生活も仕事も、一段落ではないけれど
見直す時期に来たのかな、と思った。
やりたい事は、あるなあ。アイデアも。
そこに行く道筋は全く見えないし、僕自身
だいぶ老いてきたけど、一つずつやります。