初盆

今日まで、父の初盆だった。
13日に迎え入れて、今日送り出した。


帰省してくる家族を迎え入れて、
再び送り出すような気持ちだった。
「早く帰ってこないかな」
「もう帰るのか」
そういや、僕が帰って来る度に父もそう
言っていた。
初めてその気持ちが分かった。


たくさんの方がお線香をあげに来て
くれた。この状況の中、本当に有難い。
父はいつも他人の事ばかり気遣っている
人だったから、嬉しかっただろうな。


その一方で自分自身に対しては「僕は
冷たい人間なのかな」と思う事が多かった。
来てくれた方々や、何より両親に対して
どこか冷たかったのではないか、と。
特に何があった訳では無いけれど。


父が亡くなって以来、感情を抑え込んで
いるところがある。
3年前のある日、父が救急車で搬送された
という電話の直後に40年来の友達が病で
倒れて意識が無いという連絡を受けた事が
あった。あの時ほど動揺した事はない。
その後しばらく、何も考えられなかった。
何ヶ月も朝から晩までただただ泣き続けた。
あの状況に戻りたくない。
母がずっと悲しみを抱え込んでいるので、
自分がしっかりしなければというのもある。
でもきっと、全ては言い訳だ。


そんな事をずっと考え続けていた。
自分勝手だな、と思う。
いつか、もう少し温かい人間になりたい。
なれるのか?


夏休み中に、個展のセレクトはだいぶ進んだ。
今は「夢から醒める期間」の真っ最中である。
ちょっと前まで「面白いものができるかも」
と思ってたのに、1つ1つ詰めて行ったら
「甘くねえか?」「それでいいのか?」と
なったのだ。ここからが本番である。