火事

買い物から帰ってきたら家の前に人だかり
が。何かと思って見たら、向かいの家から
火が出ていた。


さてどうしよう。とりあえず車を車庫に
入れて、母を家の中に避難させて外に出る。
誰か通報したのかしら、と思い電話をかけ
ようとしたら周りの人から「連絡しました
よ」と言われた。そうですか。それに
しては遅いな。


火はあっという間に広がった。
3階建の大きな家だが、1階は既に煙が
充満していた。入口に家の人が居たので
話しかける。「中に人は居ませんか?」


「母が居ます」というので覗いて見たら
入口に顔を真っ黒にしたおばあさんが。
一気に緊張が走る。近くの人達に手伝って
もらって、おばあさんを離れた場所へ。
意識はしっかりしていた。
家から水とタオルを持って行ったら既に
近所の奥さん方がお世話をしてくれていた。


火はどんどん広がっていく。消防車も
救急車も警察も遅いな。川崎に居た時は
すごく早かったけどなと思ったが、
あれは工場だったからかも知れないな。
ガラスが割れて爆発音も聞こえた。


それからしばらくしてようやく消防が
来た。消火栓を探していたので手伝うが
まさかこんなに遠いとは。
ようやく放水が始まったと思ったら、
水圧が低い。消防士さんが声を上げたが
聞こえないようなので消防車まで走って
伝えに行く。
「水圧が低いので上げてくださーい!」
何様だ、と思ったがつい。


工場では各部署毎に防災隊が編成されて
いて、いざという時は消防が到着するまで
初期消火を行う。
月に1回だったか放水訓練があって、僕も
消防服を着てホースを運んだり放水したり
していた。実際の火事で消火にあたった
事は無いがやり方は少し分かるので、
邪魔にならないように気をつけながら
伝令したりホースを直したりした。


突然水圧が下がったりホースに穴が空いて
水が噴き出したり。「そうだったな」と
思い出す。すぐにホースが交換できない
状況だったのでまた消防車に走り、
ホースバンドを取りに行った。


1階の火が弱まったと思ったら2階が、
その後すぐ3階が、更には屋根と天井の
隙間から白い煙が出て、炎に変わった。
火事を消すのって大変なんだな、と
改めて思った。


鎮火するまでに2時間くらいかかった
だろうか?すごく長く感じた。
火事は何とか収まった。何より、
怪我人が居なくて本当に良かった。


それにしても考えさせられた。
まずは消火栓が近くにない事。そして
消防車が到着するまでにえらく時間が
かかる事。加えて、僕の家も年配者が2人
居て、足があまり丈夫ではないという事。
他人事ではない。考えねば。
とりあえず、火の元だけは気を付けよう。


あとはまあ、色んな人がいまして。
近所のおっさんだが、半袖短パンに草履
履きで消火の最中に火元の家に入って
行った奴がいた。プラプラして、消防士に
話しかけて。見ててイラッとしたが、
後から聞いたら近所でも色々ある人らしい。
そういう意味でも、いい勉強になりました。