ペーパーレス

2ヶ月近く同じ実験を繰り返してきた
のだが、ようやく終わりが見えてきた。
目標の収量まであと少し、品質も大丈夫
そうだ。


やっと、と言いたい所だが、ここからが
本番である。この化合物を使って何を作る
かが僕の仕事だ。
一応「こういう化合物を作って」という
指示は出ていて、そのレシピを今調べて
いるところである。


このレシピは突然新しい製法を思いつく訳
ではなくて、過去の膨大な研究から検索して、
文献を探し出し、それを参考にするのである。
僕が学生の頃は「Chemical Abstracts」と
いう過去の文献が網羅された抄録誌から検索し、
そこに載っている文献の原本を別の棚から探し
出して読む、という事を日々やっていた。
後は最新の学術誌をチェックしたりもしていた。


今も基本的には変わらないのだが、ネット上に
データベース化されていて、そこから拾い
出すようになっている。楽と言えば楽なの
だが、アクセスする度費用がかかるので、
あまりモタモタしてはいられない。


見つかった論文はPDFファイルとしてダウン
ロードする訳だが、ここで問題が。
いま僕がいる部屋にはプリンターが無いのだ。
殆どが英語論文という事もあり、印刷して
色々書き込みながら読みたいのだが、それが
できない。パソコンの画面で読むだけだと
イマイチ頭に入って来ないのである
(それはまあ、別の問題もあるけどね)。


ここ数日教授が僕の代わりに色々探してくれて
(本当にありがたい)たくさんPDFを送って
くれたのだが、まるで頭に入ってこない。
仕方がないので家にファイルを持ち帰り、家の
プリンターで出力しようと思ったのだが、
家は家で忙しいのでその時間が無い。
とんでもない枚数なので、インク代だって
馬鹿にならない。


プリンターを買ってくださいとお願いしたものの
予算は無いし(実験器具だってまだ揃ってない)、
そもそもパソコンだって教授のお古、2012年の
Mac Book Proなのである。多分無理だ。


どうしようかな、と思っている時にYouTube
東大の理系大学院生の動画、というのを見つけた。
それによると「文献を読むのにiPadを使っている
人が多い。効率が良いですよ」という事だった。
なるほど!と思ったのである。


iPadならばA4サイズに近いし画面を縦に使う事も
できる。何よりApplePencilを使えば論文に書き
込んでそれを保存する事も可能だ。
これは使える。よし、iPadを買おう!


……というのは半分嘘で、「持ち運びできて大学
でも写真でも使えるパソコンが欲しいなあ。
iPadがいいな。Pencilも面白そうだし、キーボード
つけたら可愛いし。でもところで、何に使えるの
かしら?」と思っていたら、たまたまそういう
使い道が見つかっただけなのである。
物欲先にありき、であった。


そんな訳で半強制的に?ペーパーレス化(一部限定)
が始まったのである。今は何を買うか調査中だ。
引越し費用の支払いとか色々あるけれど、これは
今すぐ使うからなあ。困った、買うしか無いよ
なあ!(始まったよ言い訳が)。


明日は休みなので、これからまた色々調べます。
メインマシンのiMacもそろそろ更新時期なんだ
けどね。困ったなあ!これが無きゃ写真ができない
なあ!買うしか無いよなあ!(ふざけんな)