悪くないもんね

今回報告書を書いてみて気付いたのは、
「そんなに悪くないぞ」という事だ。
ずっと「成果が出ない」と悩んでいたの
だが、今回他の人達の卒論をいくつか
読んでみて、そう思った。


ここで今やってる仕事を簡単に説明
すると、化学の中でも「高分子化学」
という分野である。プラスチックとか
ビニールとかの樹脂やらゴムやら、
至る所で使われてるやつです。
新しい高分子を作って、その性能を
確認する、というのが目的だ。


その手順としては、まず市販の試薬から
数段階の反応で、ある化合物を作る。
これが「モノマー」で、これを重合
させて高分子、いわゆる「ポリマー」に
する。それからが本番で、このポリマー
の特性を色々調べるのである。
熱的特性とか誘電特性とか機械的強度とか。


僕が「遅れてる」と感じたのは他の4年生
が熱的特性と誘電特性までデータを出した
のに、熱的特性までしか出せなかったから
だが、それには理由があった。
彼らはモノマーを1個か2個作ってそれを
ポリマー化していたのだが、僕は7個
作っていたのである。
「砂」シリーズで4個、「パル」シリーズ
で3個作っていた。


なぜそんなに作ったかというと、「砂」が
溶媒に溶けなかったからだ。溶けないもの
は使えない。これで砂2号と4号が脱落。
1号は色々工夫して少し溶けるように
なったが、ポリマー化できなかった。
これでかなり時間を使った。


砂3号が出来上がったのが11月。
これに関しては、少し良い結果が出た。
そこで、3号と既存のモノマーを混合して
ポリマー化する、というお題が追加された
のだが、3号の在庫が無くなってしまった。
それで年末年始に残業・休出して作った
のである。
もう、いっぱいいっぱいであった。


「パル」については、1号は他の大学で
去年、先に論文化してしまったので断念。
2号と3号は作ってポリマー化までは
できたが、「砂」を優先したので中断した。


そんだけモノマーばかり作ってたら、そりゃ
進まないわな。納得である。
卒論の大半が50ページ位なのに、僕は合成
した物が多いので88ページになった。


でも3号ではちょっと面白い結果が出て、
と言うか僕は気付かなかったのだが報告会で
他の先生方が気付いてくれて、これがメイン
になった。成果という程じゃないけど、
データにはなったから悪くないと思う。
威張れないけど、卑下する必要は無いな。


と言う訳で、自己正当化のために1,000文字
費やしました。さ、ビール飲も。