希望の河

新幹線の中にいる。
今日は天気がどんよりしていたのと、
いい加減何かしら家の手伝いをせねば
なあと思ったので撮影には出なかった。


家の用事があったので車を運転して、
途中狭く急な山道に入った。
慣れない道に神経を遣いつつ、周りの
景色を見ながらふと思う。
「これ、どういう撮り方ができるかな」


木々や草の美しさを静謐なトーンで、
とかちょっとそこに心象風景を絡めて、
とかあるけど、もっと他の視点は無いの
かな、と考えた。色んな見方が
できるよな、と。


昨日までずっと考えてた事でもあるが、
いざカメラを持つと手が止まるのだ。
でもなんかあるよな、きっと。


家に帰って夕方までのんびりして、
5時50分発の新幹線に乗った。
出発直後にデッキから、車窓の風景を
撮った。今回、何度も川の撮影に挑んだ
が納得出来なかったので、最後に新幹線
から見た北上川を撮ったのだ。
好きな景色なのだが、撮れたかなあ。


今回は故郷での撮影だったので、過去の
記憶が蘇る事が多々あったが、それ以上
に今抱えている状況も、不意に頭の中に
飛び込んできた。それらの幾つかは過去
と密接に結びついており、時々胸を
鷲掴みにされるような思いをした。


それでも河は流れる。
撮影しながらいつもそう思った。
無常感からというより、それでも
止まらずに湧き起こる希望を込めて、
心からそう思った。


とりあえずは写真だ。
何が写っているのやら。
ダメだったら来月また帰ります。