終わりは始まり

今年もそろそろ終わりである。早いなあ。
年々時間が経つのが早くなっている気がする。歳だな。


今年は別れの多い年だった。
2月に会社員時代の上司が亡くなった。
自分勝手で、上に楯ついてばかりの僕を面白がってくれた人だった。
処世術ばかりを教えたがる人間が多い中で、技術屋の
面白さを教えてくれた人だった。


3月には入澤美時さんが亡くなった。この事はブログでも書いた。
写真の世界にノソノソと入り込んできた僕の、恩人である。


5月には同じく会社員時代の同僚が亡くなった。
僕より若い彼は陽気で人懐っこい男であったが、
半面とても繊細な奴だった。


そして7月には、岩手に住む叔父が亡くなった。
僕にとって本当に大事な人であり、今も自分の気持ちを
うまく表現する事ができない。
いつも穏やかで静かな人だったが、半面ときどき周りの
人達を、思わず微笑ませてしまうような暖かいユーモアも持っていた。
今年の個展「songs」は、この叔父を見舞う中で少しずつ撮り続けた
写真が核になっている。


悲しさと寂しさは当然あるけれど、もしかすると彼らが生前の病や
悩み事から解放されて、どこかで心穏やかに過ごしてるんじゃ
ないかな、と思う事もある。
つらい事はもう何も無い。静かに、暖かな場所で過ごしているんじゃ
ないか。そう思うと、悲しい気持ちも少しは紛れるのだ。


とりあえず別れたけれど、いつかまたどこかで会えるはずだ。
その日までは僕も、このめんどくさい世界で生きて行くのだ。
いつか彼らと美味しいお茶でも飲みながら話ができるといいな、と
今は思うのである。


今年も色々、お世話になりました。良いお年を。
来年もよろしく。