雨の息

バイト7日目、今日は午後から雨。最後くらい平穏無事に
終わりたかったなあ、とは思うが、まあ仕方ない。
荷物を積み込んで、外に出る。


中華街を抜けたあたりから雨が激しくなってきた。
やれやれ、と思うが、そんなに気にはならない。
この仕事を続けていて、雨には「呼吸」のようなものがある事に
気付いたからだ。


激しい雨でも、いつまでもは続かない。いずれ弱くなってくる。
かと言って、すぐに収まる訳じゃない。いずれまた降ってくる。
息をするように降っては止んで、止んではまた激しく降り出して、
やがて少しずつ晴れ上がっていくのだ。


その事に気付くと、雨がそれほど苦にはならなくなった。
いつかは晴れるのだ。無理して先に進もうと思っても、荷物が濡れるだけだ。
ただ、そんなに晴れ間がある訳じゃない。完全に晴れ上がる訳でもない。
だから、少し雨が収まってきたところで、全力で走り出すのだ。
自分にできる最大の速度で、行ける所まで。


そんな感じで、今日も終わりました。
....でもねえ、たまに間違えるんですよね。走り出すタイミングを。