葡萄争奪戦顛末

現在朝の8時40分。
紫波町赤沢にある産直センターにいる。
名産の葡萄を買いに来た。
開店は9時からだが、既に長蛇の列
である。


自分が食べたい訳ではない。
知り合いに送る為だ。
毎年とても喜んでくれるので、
買いに行くのは楽しみでもあった。
でも今年の混雑は異常だ。


いつもなら、まあ午前中に行けば
3、4個は確保できた。
だが今年は、10時半に来ても9時過ぎ
に来ても売り切れだった。
駐車場に車を停める事すら困難である。
こんなの初めてだ。


で、今日は8時過ぎに家を出てきた
訳だが、僕の前には既に50人以上が
並んでいる。並んでいる人達を
見ているだけで気が滅入る。


一人で10個以上買ってく人も結構いて、
「少し遠慮しろよ」と思う。
贈答用の葡萄は一房ずつ袋に入って
いて、それじゃないと送ってもらえない。
それを買い占めていくのだ。
そういう連中を見るだけで心の底から
憂鬱になる。


「お前も同じじゃないか」
まあ、そうだな。いつもお世話になってる
友達とその家族に、せめてもの恩返しが
したいだけだが、別に葡萄じゃなくたって
いいのだ。
でもここまで来るとさ。
手ぶらで帰るのもシャクだ。


という訳で開店しました。
えらい騒ぎだ。何とか確保したけど
清算するだけでも行列の最後尾が
分からなくて騒いでいる。


「どこだどこだ」と騒いでいる
オヤジがいたので前を開けて、
「最後尾は向こうの奥だから、
こっから通って行けば近いよ」と
言った。自分で考えろっての。


そしたらその先でぼーっと
突っ立ってるオヤジがいる。
この状況で自分の事しか考えて
ない、いや何も考えてない奴。
「はいはい、そこよけて!」


交通整理と道案内をやりながら
清算して、また並ぶ。
宅急便で送る為だ。うんざりする
けど働いている人はもっと大変だ。
さっきから場内アナウンスが泣き
そうになってる。静かにしていよう。


ようやく全てが終わったら
「抽選があります」との事。
もういいかなと思ったが、景品が
結構良さそうなので並ぶ。
買う人と送る人と抽選する人で
ごった返してて、どこが最後尾か
分からない。やれやれ。


そしたら「最後尾はこっちですよ!」
と声がした。見たら、さっき道を開けて
あげたオヤジだ。案内してくれた。
おじさん、ありがとう。
抽選でぶどうジュースが当たった。
今朝作りたて、無添加だって。
とても嬉しい。


という訳で今年も何とか。
来年は、もういいかな。