その後

今年も3月11日がやってきた。
10年か。まだ生々しく記憶が残っている。


岩手では関東に比べて、テレビや新聞で
震災を振り返るニュースや特集を目にする
事が多い。おかげで横浜に居た頃は知らな
かった、色んな話を見たり聞いたりできた。


この1年は殆ど内陸である紫波町と盛岡を
往復する毎日だったので、沿岸の現状は
分からない。
でも時々テレビ等で釜石はじめ沿岸の町の
映像を見る限り、「まだまだ元には戻って
いないな」と思う。


父の遺品を整理していたら、大槌に住む
友達の手紙が出てきた。この方はタクシー
の運転手をしていたのだが、本当に間一髪で
津波から逃れたのだ。その時の状況が詳しく
書かれていた。
とても穏やかな方で、手紙も淡々とした
文章で書かれていたのだが、その分津波
恐ろしさが真っ直ぐに伝わってきた。


大槌は震災の時大きな火災が発生して、町の
多くが焼失した。知り合いの中で、最後まで
安否が分からなかったのが、こちらのご家族
だった。だから、無事である事が分かった時は
本当に嬉しかった。


だがその後は大変だったらしい。
被害が大きかった人が少なかった人を責めたり、
嫌がらせをするような事があったようだ。
「その後」の話は他からも聞く。良いことも、
悪い事も。何とも言えない気持ちになる。


10年経ったけど、まだ「その後」なんだな、と
思う。何も終わっていない。こないだ久々に
大きな地震があった時に再認識した。
全てはまだ続いているし、新たに起こるかも
知れない。
とりあえず今年は、そんなことを考えていました。