夢から覚めても

最近撮影の度に「うーむ」とか「どうだろう?」とか書いている。
でも別に、調子が悪い訳では無いのだ。いつもこんな感じなのである。


以前はもっと自信過剰だった気がする。撮った瞬間に「俺最高。
これ傑作。そこんとこよろしく」ってな感じだった。
俺は何て素晴らしいものを撮ってしまったんだろうと。


で、フィルム現像してネガをチェックしたとこで「あれ?」と思う訳だ。
それほどでもないかな、でもなかなかだな、と。
さらにプリントに入ると、急激に自信が無くなっていく。
あれ、案外良いのが無いぞ、と。困ったな、でも行けるかな、と。
そして、展示前のセレクトに入ったところで頭を抱えるのだ。
だーめだー俺。個展に出せるの無いわー、だーめだー。
この辺で胃が痛くなったり眠れなくなったり鼻血出したり、となる訳である。
これらの過程を僕は、「夢が覚めていく瞬間」と呼んでいる。


最近はそういう事は無い。「数が揃ってきたな」という所までは
大体見当が付く。とりあえず展示はできそうだぞ、と。
「どうかなあ?」というのは「もうちょい新しい事ができないかなあ?」
という意味なのである。これが難しい。
撮っても撮ってもなーんか納得しないのである。思わずもう一つの
口癖が出る。


「またつまらんものを撮ってしまった....」
座頭市か。