キャシィ・スタイル

今日も朝から実験、というか回収作業。


この3日間、慎重に慎重に回収作業を
進めてきた。タールに溶媒を入れて
加熱して溶かして、別の溶媒を加えて
析出させて、上澄を吸い取ってエバ
レーターにかけて、残ったタールはまた
溶かして…。3日間で12回やった。


今日も1回デカンテーションしたが、
かなりタールが混じっていた。
この辺が限界だ。さあ、再結晶をやろう。


他にも色々作業があったので先に終わら
せて、3時過ぎから始めた。
頼むぞ、今度こそ結晶化してくれよ。
フラスコを温めて、まずは溶かす為の
良溶媒を適量入れて、3日間かき集めた
結晶を加える…溶けた。
よし、では析出させる為の貧溶媒を少し
ずつ加えて、と。液が濁ったところで
加熱を止める……さあ、どうなる?


と、長々書きましたけどね。失敗です。
またタールが出てきました。前よりは
綺麗な色だけど、タールはタール。
使えねえ。ダメじゃん。
3日間かけたけど、同じじゃねえか。


ずーっと抑えてましたけどね。
さすがにキレました。「ごっつええ感じ
のコント、「キャシィ塚本」が乗り移る。


「今日はね、再結晶するのよ。この
フラスコね、加熱して加熱して、溶けない
から良溶媒を足して足して溶けても足して、
大きいフラスコに移してもーっと足してね、
それから貧溶媒行くの。
これもビーカーから直でドーーーン!
そんで加熱のスイッチをオーーフ!
バーン!ワンワンワーン!!」


まあ、ヤケを起こした訳です。
大量の溶媒を大型フラスコに叩き込んで
自席に座り、コーヒーを飲む。
少し落ち着いてきた。
「あーあ。初めからやり直しかあ。
今週はこの作業で終わるのかしらー。
でも仕方ねえかあ」


気を取り直して実験室に戻る。
またタールが出てるんだろうなあ、と
思ってフラスコを見たらあら不思議。
結晶が析出してるじゃないの。
しかも結構たくさん。タール、消えてる
じゃないの。ヤケ起こして適当にやった
のになんで?ま、いいか。


考えてみれば今まで、丁寧に丁寧に
間違ったやり方を繰り返していた
だけだったかも知れない。
実は理にかなっていたかもな、
キャシィ・スタイル。
なかなかできないけど。
とりあえず、仕事が先に進みました。