アラーム

年末進行が続いている。
色々作った。こないだも書いたが基質3号
と4号、そこから砂3号と4号。更には
新シリーズ「パル2号」と「パル3号」の
6種類を合成した(「パル」は正式名称の
一部から。なぜ2号から始まるかは別の
機会に)。


実験を優先したのでデータの整理が遅れて
いた。定例の報告会がずっと無かったのと、
パル2号、3号の単離・精製が難しかった
ので、実験作業に気を取られて机の上には
分析データが溜まる一方だった。
家に持ち帰ってデータ解析をしていたの
だが、一向に終わらない。


それがずっと気になっていたので、昨日は
実験を半日中断して整理に費やした。
何とか終わらせてパワーポイントで纏めた。
これでここ2週間くらい気になっていた
仕事は全て終了。久々の、ちょっとした
達成感があった。


たまには早く上がって駅前のタリーズ
アイリッシュ・ラテでも飲んで帰るべかー
と思ったところに母から電話が。
「お父さんが転んで腰を痛めた」


電話が鳴った瞬間から嫌な予感がした。
この20年位、何度も何度も味わった感覚だ。
それでも「大したこと無いよな、きっと」
と思っていたのだが、それからしばらくして
第2報が。
「どうも骨折らしく手術が必要だって。
今から救急車で別の病院に行くから」
愕然とする。


家に帰り、車で盛岡の病院へ。
手術か。それ自体も大変だけど術後も
色々考えなきゃな。
さあどうやって行こうかと考えつつ、それに
してもいつもこうなんだよな、とも思った。
写真を含めオーバーワーク気味に仕事を
進めていて、それが少し落ち着いた時に
両親、特に父が体調を崩す。ずっとそうだ。
偶然にしてはあまりに多い。


何の根拠も無いけれど「警告なのかな」と
思った。「お前自分のことばかりじゃなくて
少し周りを見ろよ。負担がかかっているぞ。
そろそろ限界だぞ。考えろ」と誰かが警告
しているんじゃないか、と。


病院に着いて、母の様子を見てますますそう
思った。気丈に振舞っているけれど、いつも
より判断力が落ちている。相当疲れてるな。
僕は自分の事ばかり考えていたな、と思った。


幸い父の様子が落ち着いていたので家に帰り、
今日は朝だけ大学に行った。昨日から動かして
いた乾燥機を止めて片付けて、教授に連絡して
事情を説明してお休みを頂いた。
家に帰り、母を乗せて病院へ。入院手続きを
済ませて、父に会った。元気な事を確認して
ひと安心した。手術日はこれから決めるそうだ。


それにしても。もし今も横浜にいたら大変
だったな、と思った。これまでのように
休みを頂いて新幹線に飛び乗って帰っても、
何も出来ないだろう。不幸中の幸い、かな?
昨日も病院の入口でしばらく止められた。
「ここ6ヶ月県外に行った事はありますか?」
「県外の人と仕事等で接触した事は?」
その後も行く先々で何度も聞かれた。


そもそも、受け入れてくれた病院があった
だけでも有難い事なのである。家から一番近い
大病院からは拒否されて、その次に近い病院は
クラスタが発生している。
よく見つかったなと思った。
今回最初に行った病院は2年前に母が骨折した
時にお世話になった所だが、今回も良い病院を
紹介してくれた。本当にありがたい。


とりあえず「警告」で済んだ。
一度落ち着いて、頭を冷やさねば。