やがて楽しき街

御嶽山の事は気になるが、ひとまず
旅は続く。まずは中軽井沢へ。
タリアセン(絵に描いたような避暑地
風景!)、野の花美術館、軽井沢高原
文庫と廻る。今回は文芸ツアーか?
本だの絵葉書だの買って、また
小諸に戻る。


一度ホテルに荷物を置いて、再び外へ。
懐古園を歩く。ここは小諸城址なの
だが、動物園や遊園地まである。
まずは動物園へ。鳥が多い。
ライオンもいる。クマもいる。
思ったより賑やかだけれど、
どこか哀しい。


それから遊園地へ。この城址は崖の上の
ような場所にあるのだが、遊園地はその
谷底にある。歩いても行けるが、ロード
トレインという乗り物に乗った。
蒸気機関車の格好をした車で、後ろに
客車が3つか4つ。
おじさんが運転して、谷を降りていく。
ガソリンの煙を吐き、汽笛がピーと鳴った。


シカ谷を過ぎて、いくつかカーブを回る。
客は僕らだけ。時間は2、3分くらいか?
結構楽しい。写真を撮る。


遊園地はツインドラゴンという名の
巨大ブランコがメインで、その他に小さな
コースターとかコーヒーカップなどなど、
アトラクションが5、6個。
ほっかむり姿の元気なおばさんと
おじさん数名が、あちこち掛け持ち
しながら動かしている。
客は若い家族連れが3、4組。


僕たちは特に何か乗るという訳でも無く、
自販機でアイスを買ってぼんやり見ていた。
時々撮影する。そこそこの歓声。
つまらなそうでは無いが、底抜けに楽しそう
でもない。


30分くらい居て、帰りのトレインに乗った。
今度は満員。急な坂道をトコトコ登っていく。
あらかた登りきったところで、僕の後ろの
女の子が呟いた。
「もう誰もいないよ」


見下ろすと遊園地は空っぽで、
おじさん、おばさん達がそっと手を
振っていた。さよなら。


小諸駅前に出て買い物した後、
「停車場ガーデン」にて瓶ビールを飲む。
開けっ放しの扉から、心地よい風が入って
きた。
時々列車の走る音がする。
とても親密で穏やかな夕暮れだ。


素敵な街に来たなあ、と思った。