雪が降る町

朝、家を出たら吹雪だった。
昨日は一日中雨で、道路の雪が全て
溶けたので、久々にのんびり楽しく
運転出来るかと思ってたのに。
前が見えないからライトを上に上げたら、
雪に反射して余計に見えなくなった。
なるほど。そういう事もあるのか。
また一つ学んだぞ。


毎日運転していたおかげで、雪にもだいぶ
慣れた。毎日色んな経路を走った。
急な坂道とか、凍結したら怖いなと思う道も
一通り走ってみた。
これからずっと雪道、凍り道を走る訳だし、
車が無ければ生活するのが大変な土地だから
克服しなければ、と思ったのだ。


途中何度も思ったのが、「昔は真冬でも
運転してたんだよな」という事だ。
大学4年の時なんか、毎日車で通学してたのだ。
朝は早く、帰りはいつも深夜で、道は当然
凍結していたし、雪だって多かった。


そんな中、土曜も日曜も深夜も早朝も関係なく、
毎日自分で運転していたのだ。
あの頃の運転技術も度胸も無く、すぐパニック
に陥っていた「一人人生劇場」の僕が。
いまだに不思議で信じられない。よくやってたな。
もっとも、それでつくづく運転が嫌いになって、
その後30年間、殆ど車を運転しなかった訳だが。


いつもの時間に大学に着いて、すぐ実験。
定時ギリギリまで作業。年末だからペースを
落としたいのだが、なかなか落ち着かない。
何とか終わらせて出てきたら、車が水没ならぬ
雪没していた。10cm以上積もった雪を下ろして、
車の周りの雪も掻き分けて、何とか駐車場を
抜け出した。走り出した途端にまた雪が。
道路が混んでいて、なかなか前に進まない。


やれやれと思いながら待つ。
気晴らしに、歌でも歌うか。
この時期だし、雪が降ってるのでこれはもう
ユニコーンの「雪が降る町」だ。
キーが高い曲だけど昔は歌えたんだよな。
よし、やってみよう。


iPhoneから曲を流す。最初のキーから
やっぱり厳しいな、と思ったが、やってみると
声が出た。我ながら感動する。
おおお。まだできるんだ。
サビはもっときついけど、この曲は朗々と
歌わなきゃ意味が無い。よおし、行くぞ。
「♪ぼーくらーのまちにー」


声が出た。まだ歌えた。嬉しかったあ。
かなり声を張り上げたけど、ギリギリ絞り
出す感じではなく、ちゃんと出た。
ちょっと前まで声が出なくて、歌える曲が
一切無かったので、本当に嬉しかった。


まあ、「今年も終わるけど」の所で軽く酸欠
気味になりましたけどね。運転してるのに。
俺が終わるって。
でも、もう少し歌い込めば、もっと声が出る。
ドラムを叩きながら歌えば、かなり出るように
なる筈だ。近所にスタジオがあるから、
今度行ってみようかな。
最近では一番嬉しい出来事だった。