Two Holes

会社を辞めるにあたり、班長にひとつ
お願いをした。
「夜勤の補助、毎日当番を決めて均等に
廻しましょう」


夜間指定の配達が多過ぎて夜勤者一人
では配りきれない事が多いのでほぼ
毎日誰かが手伝うのだが、これを
数人の決まった人間で廻しているので
ある。担当を決めてないので、配達を
早く終えた人が手伝う羽目になる。


その中でも僕が入る事が多くて、週に
1〜2回はやっていた。
結構仕事が多い区域を配っているので
かなりペースを上げて配達しているが、
終わって帰ってくると誰も居なくて
夜勤補助だ。非常に疲れる。
こないだ週3で入ったら風邪をひいた。


他は何をやってるかと言うと、何だろ
ねえ。そんなにたくさん仕事を持って
る訳じゃないのに。なので、
「今後の事もあるから均等に分けた
方がいいよ」と言ったのである。
僕も大人になったものだ。


月曜日の夜に班会議が行われた。
僕はその日夜勤補助に出てたので
出席しなかったが、その場で僕の退社
が発表され、今後について提案が
なされたらしい。


配達を終えて帰ってきたらみんな
まだ残っていて、その顔を見たら
思わず吹き出しそうになった。
「お前マジか」「やりやがったな」
という目で僕を見てたからだ。
いい大人がね、自分の事だけ考えてる
からバチが当たったんだよー。
これからはちゃんと手伝えよ、
バカタレがー。ケケケケケケ。


という訳で実に清々しい1週間だった
のだが、昨日異変が。
あまりに夜間配達が多過ぎて補助一人
では足りなくなったのだ。
僕以外に帰ってきたのは一人だけ。
でも彼はこないだ補助に入ったばかり
だからなあ。


「……やるよ。仕事、俺にも分けて」
結局今週2回目の補助に入った。
人を笑わば穴二つ。バチが当たった。
これからはもう少し謙虚にやります。