嫌って嫌われて

小型犬に嫌われているらしい。
よく吠えられる。赤バイクで走っていると、
散歩している犬だけでなく家の中にいる犬に
までもよく吠えられる。


そんなのよくあるよ、と言われそうだが、
吠えている犬の顔を見ると尋常ではないのだ。
「お前だけは、お前だけは許せん!」ってな
感じで、もの凄く憎しみのこもった目で見られる。


庭にいる犬はフェンスにぶつからんばかりに、
家の中の犬はガラスを突き破らんばかりに、
散歩中の犬はリードを噛み切らんばかりの勢いで、
こちらに向かってくる。
中には本当に飼い主を振り切って噛み付いて
くる奴もいる。
こいつらは僕を憎んでいる、憎んでいる!


確かに、人に好かれないような事もたくさん
して来たと思うが、ここまでの憎悪を向けられた
経験は僕には無い。まして犬好きなので、
なんかもう落ち込んでしまうのである。


「それさ、エンジン音のせいじゃない?」
誰かが言った。確かに、バイクの音に反応している
可能性はある。そうだそうだ。僕が悪いんじゃない。
なので今度はエンジンを切って、歩いて配達してみた。
でもやっぱり吠えられた。
僕は嫌われている。
くくくくく。


同じ吠える犬でもロックは可愛らしいのになあ。
小型犬は何かヒステリックで嫌だ。
インターフォンを鳴らしただけでギャーギャービービー。
何なんだよ。何様だお前ら。


......もしかして僕が小型犬を嫌いなだけかも。