Don’t Give Up

朝9時半に会場到着。10時にスタートする。
初日にしてはたくさんの人。我々のいる
蒼穹舎ブースにも結構な数の人が見に来るが、
スルーするだけで売り上げは無し。
始まったばかりだからな。まだまだ。


12時近くにようやく1人、若い男性が本を
買ってくれた。じっくりと時間をかけて見た後、
「これ」と差し出した。ちょうど僕一人しか
居なかったので慌てる。向かいのブースの人に
協力してもらい、何とかカード精算して本を渡す。
1冊売っただけでこれだ。大丈夫か?


心配するまでもなく?それからは全く売れなかった。
午後になって人が増えているのに、何人も見に来る
のに、まるで売れない。向かいの古書店は少しずつ
買う人が増えているのに。


どんどん孤独になっていく。他のブースと比べても
個性のあるブースだったし、実際写真に対する反応は
良かった。僕の写真にも反応してくれる人は結構居て、
名刺を渡してくれたり写真を一緒に撮ったりした。
でも、何も起こらない。


何が悪いのだろう、何が足りないんだろう。
そもそもこの展示の仕方で良かったのだろうか?と
考え続ける。でも考え過ぎると表情が暗くなり、
ますます人が近付かなくなるから、無理して笑った。


答えが出ないまま6時半頃、初日が終了。
その後レセプション。終わって焼肉店に移動し、
8時から主催者による2次会。僕らのテーブル
には日本人、韓国人の他にアメリカ、ロシアからの
招待作家とカナダ人。みんな良い人達だったが
会話があまり通じず、ここでも疎外感を感じる。


それでもソウルの焼肉は、めちゃくちゃ美味い。
メニューにいちいち感動してしまった。
ふと見るとレバ刺しが。おお、久しぶり!
食べてみる。ああ、美味い!


隣りにいた人に「これは日本じゃもう食べられない
んです」と言った。韓国人であるその女性が
「どうしてですか?」と聞いてきたので、こう答えた。
「処置が悪い店で食中毒が起きて、人が亡くなったからだ」


たちまち全員の箸が止まる。あれ?まずい事言ったかな?
かくして僕は一人でレバ刺しを独占する事となった。
アメリカとロシアとカナダと韓国にレバ刺しで勝ち、
一矢報いた気持ちになるが、まあ情けない話な訳で。
クタクタに疲れてホテルに戻る。明日こそは!