両手に抱えて

新幹線の中にいる。
父の体調が落ち着いたので、横浜に
戻るところだ。
2年前に生死を彷徨った時の病が再発
したが、あの時ほど重篤にならずに
快方に向かっている。とりあえずホッと
した。


新幹線に乗る前に、昔から通っている
茶店と、駅ナカにできた「白龍」の
支店をハシゴする。盛岡に帰ってきた
気分を、少しだけ味わった。


「白龍」はじゃじゃ麺発祥の店で、
盛岡の人なら誰でも知ってる(多分)。
僕は一時期、週3で通っていたが、
久々に食べた。
「美味いけどね。俺、初代の味を覚えて
っからね。味噌がまだまだ」
とか、知ったような事を言いたくなる。


この食べ物を僕に教えてくれた友達が、
こないだ病に倒れた。まだ回復して
いない。じゃじゃ食って元気出して、
父がくれた良い流れを両手に抱えて、
横浜に戻ろうと思う。
次はあいつが良くなる番だ。