数値目標

旅の行程が大体固まった。
30日に岡山で展示の搬入を終えた翌日、
まずは松江へ。その後益田、長門市
山陰を移動した後、山陽へ。


岡山で再びギャラリーに顔を出してから
京都へ。帰って来るのは7日だから、
7泊8日の長旅だ。こんなに長い旅は
久しぶりだな。


いつもの旅はずっと1人で、ひたすら
撮影ばかりしているのだが、今回は
ちょっと違う。まず搬入作業があるし、
松江では観たい展覧会もある。
行く先々で先輩の写真家さん達に会える
事にもなった。すごく楽しみである。


そう考えると実際の撮影期間は4日半
くらいだと思う。これで展覧会1回分の
撮影をやるのは、僕にとっては久々で、
2010年5月の釜石撮影以来だと思う。
気合い入れて行くぞーと思ったが、
気合いを入れて臨むと途端につまらなく
なるのがワタクシ。なかなか難しい。


僕の中のお手本としては森山大道さんの
遠野物語」があって、あれは展示の
1ヶ月前に遠野に赴き、4日間で撮影
したのだと聞いた。
新幹線が無い頃だから、移動時間を考慮
すると実質3日ちょっとだと思う。


そんな短期間でどれだけ撮影したの
だろう?と思って、森山さんご本人に
伺った事がある。「150本位でした
かね」とおっしゃっていた。


あの写真集を表現する時「失われた
原風景」だとか「懐かしい」だとか
書かれるが、僕はそう思わない。
あの場所、1976年の遠野を記憶して
いる僕にとっては眼の前にあった風景
そのものであり、それは懐かしさと
別の次元で、見る度に生々しく甦って
くるからだ。「記録」だと思う。


話が逸れた。とにかく短期間で集中して
ありとあらゆるものを撮る、という事を
やってみたいといつも思っている。
「4日間でフィルム150本分撮って展示」
というのが、その為の数値目標なので
ある。数値を定めると、何となくやれる
ような気になる。とりあえず撮るぞと。


たくさん撮って全部ボツ、という経験も
何度かありますが(怖い怖い怖い!)、
とりあえず行ってきます。