罰当たり

いつもより少し早くバイトが終わった。
今日はなかなか痛快な知らせがあった。
いやあ、見る人は見てるねえ。


いい加減な仕事をして他人に仕事を
押し付けて、立場が弱い人間を貶める
ような奴には罰が当たるのね。
いやあ久々に痛快だ。ざまあみろ。
そんな話だ。


これは祝杯だ。軽く飲んで帰ろうと
思ったが、家と逆方向の関内や桜木町
に行くのはめんどくさかったので、
とりあえず石川町駅前の「王将」で
ビールを飲んで済ませた。
ああ、チャーハンと餃子がうめえ。


さらにビールを買って部屋に帰る。
「けっけっけっけ。ざまー」と笑い
ながら飲むが、すぐに考えを改めた。
「こんな事で喜んでたら、必ず自分に
返ってくるぞ」と。


いかんいかんと思いながら部屋を片付け
ていた所で気付く。
「あれ?かばんが、無い!」


一昨日、歳の離れた友人2人と横浜で
楽しく飲んで、さらにそのうちの1人と
山手のバーでも飲んだ。その友達に紹介
してもらった店で、滅多に行けない
けれどすごく楽しい場所なのだ。
楽しくて飲み過ぎた。きっとあの店だ。


昨日は二日酔いの後、風邪がぶり返した
ので早く寝たから気付かなかった。
無い。どこを探しても無い。
そして困った事に、そのかばんには
僕の唯一のカメラ、GRが入っていた。
あれが無くなったら何もできない!


「うわあーあーあーあー!」
叫びながら部屋を出て駅前のバーへ。
幸い、かばんはそこにあった。
カメラも入っていた。あああああ。
膝から崩れ落ちる。


マスターにお礼を言い、かばんを
受け取る。少し飲んで行こう。
ビールを、と思ったがそういや今日は
元々ジントニックが飲みたかったんだ
よなあ、と思ったので、それにする
……美味いっ!ほんとに美味い。


飲みながらマディ・ウォーターズ
聴く。良い。
「人の不幸を笑う奴はなあ」と自分に
言い聞かせる。駄目だよな。
罰が当たったのだ、きっと。


それからもう1杯、ウイスキーを。
こないだ飲み過ぎたやつを。
やはり美味いけど1杯だけにしとこう。


じっくり味わって、もう一度お礼を
言って帰った。
時々、お金がある時に、ちょっとだけ
ここで飲むのが楽しいなあ、と思った。
また来よう。そして、人の事は
気にすまいと思ったのである。