ふたつの仕事

写真学校を出ていない、スタジオ経験も
無い、おまけに30代半ばを過ぎた男が
突然写真家になろうと考え、それに専念
したいと考えた時、生活の選択肢は
そんなには残っていない。
他の仕事をしながら、自分の写真を撮る。
多分それが、一番手っ取り早い。


それに気付くまで、というか納得するまで
僕は2年以上もかかった。15年近くも
会社で働いてきたのだから、もう別の仕事
には就きたくなかったのだ。
写真の事だけ考えて暮らしたかった。


他人の展覧会を観ても、写真を撮って
人前に晒して生きる事を主軸に据えた人の
写真は、他と全く違って見えた。
そこに向って行きたいと思った。
才能が無いのだから、全部を写真に
つぎ込まねばと思った。


なので蓄えが無くなるまで、ふらつき
回った。やがて蓄えの底が見えてきた時、
どうしようかと考えた。
写真の仕事を紹介してもらい、幾つか
やってみた結果、この方向は無理なんだな
と納得した。
なので赤バイクに乗った。もうすぐで
丸9年になる。


何とか生活して写真を撮って、本が2冊も
できたのだが、いまだに時々、両立に悩む。
2つの仕事をやり続ける事の難しさを、
いまだに感じている。
時間と頭の中を切り替える難しさ、
両方の世界に存在していく事の難しさを、
日々感じている。
まあ、みんなやってる事だけど。


とりあえずこれからまた次の作業に
入ります。ひとりごとでした。