写真家の遠足

朝9時半に会場入り。直ちにブースのレイアウトを
変更する。これでだいぶ本が見やすくなったし、
展示もよく見えるようになった。


スタート当初はあまり効果が見られなかったが、
徐々にブースに留まる人が増えてきた。
本を見る人も増えた。
何となく良い予感がしてきた頃、1人の若者が
僕の「BLACK DOCK」を熱心に見始めた。
すごく嬉しそうに、時間をかけて見てくれる。


僕も嬉しかったので「ありがとうございます」と
言い、続けて「それは僕の本なんです」と伝えた。
その途端若者の顔がパアッと明るくなった。
「そうなの?!」
その後も彼はじっくり本を見て、こう言った。
「これ、ください」


そこからの僕はもう、天にも昇る気持ちだった。
ほ、本にサインして、しゃ、写真一緒に撮って
せ、精算して、ほ、本渡して、あ、握手して。


あまりのはしゃぎっぷりに、横から植村さんの
冷静なツッコミが入る。「もうちょっと、
落ち着いた方がいいですよ」
そ、そうかあ。お、落ち着いてますけど。


その後、他の本も少しずつ売れ出した。
レイアウト変更だけが理由ではないだろうけど、
とりあえず全員安堵する。良かった!


終了後、夕食を食べに河南へ。
あいにくの雨だったが、タクシーを降りた瞬間
全員の目が変わる。「これはすごいな」
一言でいうと「ブレードランナー」のような世界。
写真家ならば絶対撮りたくなる景色。撮らなきゃ!


はやる気持ちを抑えて、まずは「coffee smith」
という洒落たカフェへ。
寒かったので暖まるはずが2階のテラス席に出る。
景色が良かったからだ。で、さっそく撮影開始。
コーヒーを待つ間に撮影、飲みながら撮影、
終わって店を出て撮影。いい加減にせえ。


その後も夕食はさておいて、まず撮影。
特に川口さんと僕が止まらなくなる。
「ほら、向こう。あれ、たまらんな」
「そうですね!行きましょう」
傘を持ってない山口さんが呆れて見ている。
でも、こんな楽しい撮影は久しぶりだ。


とは言え今回は団体行動。仕方なく途中で
撮影を切り上げて夕食、またもや焼肉屋へ。
今日は一人千円ちょっとであった。安いなあ。


食後も街をブラブラ、というか撮影。
しまいに川口さんが言い出す。
「あの、今日はみんな帰っていいから。
 俺、もうちょっとおるわ。ほんとに」
お気持ちはよく分かります。でもね。


結局4人揃って地下鉄でホテルへ。あと1日です。