チャーシュー

梅雨明けしたのだそうだ。気温もかなり
高かった。道理でやたら喉が渇くと思った。
一日で、顔やら腕がきれいな焼豚色に
焼き上がってしまった。


配達先でお客さんに何度も言われた。
「暑いのにご苦労さんだね、大丈夫?」
中には冷たい麦茶や缶コーヒーをくれた
お客さんもいた。


嬉しいなあ、ほんとにありがたいなあ、と
感謝しつつバイクのミラーでふと自分の顔を
見て、愕然とする。「ひでえ」


ヘルメットから出た前髪はバサバサのグチャグチャ、
顔は汗まみれでギトギトのグダグダ。
はたから見たら、今にも倒れそうな顔つきだ。
そりゃあ心配されるわな。


こりゃいかん、と汗を拭き髪の乱れを直す。
猫背をまっすぐに伸ばして気合いを入れ直す。
「武士は食わねど高楊枝!」
....言ってる意味が分からん。
早く帰って休もっと。