瞳はダイヤモンド

ようやく眼の充血が引いた。痛くも何とも
ないのだけど、周りの人やバイトのお客さんが
僕の眼を見て一瞬引くのが、ちと困っていた。


よかったよかったと言いつつ蒼穹舎へ。
そういや大田さんも時々眼が真っ赤になってるな
と思い、原因を訊ねてみた。
が、病院で診ても分からなかったそうだ。
しかもクセになると言う。次第に白眼が濁った
ようになるらしい。


やれやれ、黒眼は老人環、白眼は濁り目かい。
「確かに若い人の眼は綺麗だもんね」と大田さん。
やだやだと言いつつ、ふとある事を思いつく。
「って事は、心が濁ったから眼が濁る訳では
 ないんですね?」


そうだそうだ。人の内面が眼に出てくる訳ではない。
単なる加齢現象なのだ。人間として濁っている訳じゃ
ないんだ!


「心が濁ってしまった訳じゃないんですよね!」
「そうだよ。単に歳を取っただけなんだよ!」
そうだそうだ、と二人で何度も言う。
間違いない、僕は濁ってなんかいないんだ!


なんか、空しかった。