老人環

昨年位から黒目の周辺が白っぽくなっていた。
自分でも気になっていたのだが、この間友達からも
「ちょっと白いね」と言われたので決心した。
一度きちんと診察してもらわねば。


眼は写真家の命である。いや、赤バイク仕事だって
眼が悪かったらどうしようもない。すなわち僕の生命線だ。
近所の友達に教えてもらった眼科医に行く。


診察まで、しばらく待たされた。ヒマだったのでなんか
読むものは、と思ったが、あるのは「白内障・その症状と治療」
だとか「緑内障について」などという小冊子ばかり。
怖くて読めるかい。


でも、何があったって、僕は写真を続けるのだ。
何とかしてみせるのだ!と考えていた所で名前を呼ばれる。
さあ、来い。覚悟はできてるぜ。


「ああ、これは何でもないですよー」
ベテランの医者はニコニコ笑って言った。
「へ?」
「歳取るとねー、誰でも白くなってくるのー」
「はあ」
「人によって目立たなかったり若いうちに始まったりする
 けどねー、大丈夫だよ。周辺が白くなるだけだから」
「はあ」
「白いものの正体は分かっているの。脂肪」
「ええ?」
「そしてね。これには名前があるんだよ。『老人環』ってゆーの」
「.....はあ」


窓口で初診料950円を払って帰る。窓口の女性がにっこり
笑って言った。「病気ではなくて良かったですねー」
確かに。でもね....また老化現象かよっ!!