一年

震災から一年が過ぎた。
この数日間その事について書こうとしていたのだが、結局書けなかった。
いや、実際は何度も書き直して、それを何度も読み返していたのだが、
全て破棄する事にしたのだ。


余計な事を言うのはやめよう。とりあえず、自分がやれる事を黙って
やり続けようと思う。


朝、テレビで85年のラグビー日本選手権を見た。新日鉄釜石×同志社大学
社会人7連覇の釜石と学生3連覇の同志社が激突した名勝負だ。
久しぶりに見たが、本当に素晴らしい試合だった。どちらが
勝ってもおかしくない、正々堂々の名勝負だった。


かつて、僕の近所にあったグラウンドで練習していた選手達、近くの
スーパーに行けば普通に会えるような人達が、日本最高峰の勝負を
していたのだ。今考えると、とんでもない事だ。


スタンドにたなびく無数の大漁旗、応援する人々の、誇りに満ちた顔。
僕はまたいつか、こんな場面が見たいと思った。
上手く言えないけれど、僕が思うのはそういう事だ。