決めの一言

毎日行くコンビニに、やたら「ありがとうございます」を連発する
店員のおばさんがいる。店に入った瞬間から、甲高い声でこう言われる。
「いらっしゃいませー。ありがとうございまーす」


いやまだ何にも買って無いんですけど、と思いながら店に入る。
缶ビールをカゴに突っ込んでいる間にも、何度も声が聞こえる。
「本日はおにぎり50円引きになっていまーす、ありがとうございまーす」
「おでんいかがでしょうかー、ありがとうございまーす」


ありがとうは要らんやろ、と思いつつレジに並ぶ。結構な行列になっている。
ここからがおばさんの真骨頂。


「次の方こちらへどうぞー、ありがとうございまーす。
いらっしゃいませ、ありがとうございまーす。
お弁当、温めは?ありがとうございまーす。
お箸はご利用になりますか?ありがとうございまーす。
フォークとストローはご利用になりますか?ありがとうございまーす。
袋はご利用になりますか?ありがとうございまーす。
○○円になります、ありがとうございまーす。○○円お預かりしまーす、
ありがとうございまーす。○○円のお返しでーす、ありがとうございまーす」


一人一人にこれだけやる。そして買物袋を抱えて客が出て行く瞬間、
こう言うのだ。
「ありがとうございました、ありがとうございまーす」
....日本語としておかしいだろ。


聞いてるだけでもの凄く疲れるので、極力そのおばさんの前には並ばない
ようにしているのだが、こればっかりは運である。
週に1〜2回は、ぐったりしながら部屋への坂道を上っていく事になるのだ。


「ありがとう」って、決めの一言だと思うんだけどなあ。
心から、ありったけの感謝を込めて、一度だけ言うから相手の心に
響く訳で。やたら連発されてもなあ。単に口癖なのかも知れないけど。


言葉は大切に使いたいですねー、というお話でした。
ありがとうございまーす。