引き継ぐということ

元阪急・近鉄監督の西本幸雄氏が亡くなった。僕にとっては子供の頃から
見ていた大監督だ。子供心に「この人、かっこいいなあ」と思っていた。


新聞やら何やらかき集めて、色んな人の談話を読む。山田久志梨田昌孝の話、
回顧録がえらく染みた。いずれも新人の頃から育ててもらった人達だ。
プロに入ってきた何も知らない若者を、甘やかすでもなく突き放すでもなく、
その人を理解して、一番良いやり方で育てていったのだ。


教え子は球界を代表する大選手になり、そして素晴らしい指導者となった。
西本幸雄の教えは、間違いなく次の世代に受け継がれた訳だ。
彼らに育てられた選手達は、きっとその次の世代にそれを引き継ぐだろう。


最近、「引き継ぐ」という言葉についてよく考える。
僕もそういう男っぽい、カッコいい人達に育てられた。色んな事を教えてもらった。
「あの時、あの人達ならどうしただろう?なんて言うだろう?」
その事が今でもずっと僕の行動の基準になっている。
年を重ねる度に気付く事があり、「ああ、有難いなあ」と思う。
それがあったからこそ、何とか今まで生き延びている。
僕はそれを、次の世代に引き継ぐ年齢になっているのだ。



写真を始めた年齢が遅かったので、今でも僕はどこか「若手」のつもりでいる。
でも、既に若い世代が出始めていて、そういう人達と接する機会が増えた。
そうするとやはり思うのだ。「伝えなきゃ」、と。
先輩達のあの強さを、格好良さを、楽しさを、自由さを、かわいらしい
みっともなさを、僕はきちんと伝えたいと思うのだ。


それには僕が、話を聞いてもらえるような信頼を得らなきゃならん。
.....うーむ。