午後のバイトが始まってすぐ、課長だか何だかが叫ぶ。
「記念撮影をするので屋上に集まってくださーい」
何の事かと言うと、夏期の営業目標を達成したので全員で記念撮影を
しようというのだ。ここ数年、夏と冬の恒例行事になっている。
「ああ、やだな」と思った。これまでは、撮影する日が運良く休みの日に
当たっていたので免れていたが、今日は逃げられないようだ。
そのちょっと前から色々あってイラついていたので、余計機嫌が悪くなった。
なーにが記念撮影だ、バカバカしい。その程度ではしゃぐんじゃねえよ。
写真家のくせに（だから？）僕は写真を撮られるのが苦手である。
特に集合写真は大の苦手だ。ここ数年、急に嫌いになった。
「はい、あなたもこの集団の一員ねー」と括られてるようで、本当に
嫌いなのだ．．．．と言うか、そういう楽しくもない集団の中で
撮られるのが嫌なんだろうな、きっと。
なるべく後ろの方で、と思ったら「前に出てー！」と言われたので
（大きなお世話だ）、少し前に出た。眼鏡をかけて、シャッターを切る
瞬間に合わせて下を向いた。写らないでくれ。頼む。
大人げないけど、ほんとに嫌なんだからしょうがない。
終わると同時にダッシュで仕事に戻る。やってられっか。
