言い訳

自分の行動を正当化したい、というのは誰しも思う事であって、
それ故世の中には数多くの言い訳が存在する。
気の利いた言い訳はそれを言った人の行動を正当化するだけでなく、
むしろイメージアップに繋がったりもするが、大概は逆の結果に終わる事が
多い。


最近僕が聞いた中で最もひどい言い訳は、バイト先のベテラン社員の
一言だった。違う番地の同じ名字の家に誤って配達し、それを申告された
彼は、上司・同僚全てに向かってこう言った。
「だってよお、俺、最近老眼が進んでっからよお」


老眼だと数字を間違えやすい。3と6だか6と8だか忘れたが、とにかく
見間違えてしまう。老眼が進んだ上に、この配達先の辺りは少し暗くて、
余計間違え易い。だから間違えたのだ。


これを聞いた人は全員、まずこう思った。
「だったら新しい老眼鏡を買えばいいじゃん」
当たり前である。さらに僕はこう思った。
「そもそもあなた、普段から眼鏡なんかかけてないじゃん」


でも誰も面と向かっては言えなかった。そんな事を言ったらこの人は
いつまでも何度でも、こちらが「もういいっ!」と言うまで言い訳を
繰り返すからである。もう既に、こちらがうんざりしているのに、
奴は先程来の言い訳を延々繰り返しているのだ。しかも逆ギレ気味に。
もういい。勘弁してください。わかりました、そうですね。


メチャクチャな言い訳でも無理矢理押し付ければ正当化できるのだ。
まるでどこかの国みたいだが、そういうやり方もあるんだなあ。
ちょっと勉強になりました。僕はやらないけどね。