明日から始まります

明日からの個展であるが、岩手県釜石市の写真という事で
色々提案してくれる人がいた。
「震災復興支援のチャリティにしてはどうですか?募金箱を置くのは?」
「釜石の写真と言う事で、雑誌に紹介しましょうか?」


ありがたい事である。随分迷ったのだが、全てお断りさせてもらった。
それは僕の、ある信念からである。簡単に言えばこういう事だ。
「写真に、作家自らが余計な色を塗り込む事はしたくない」


あくまで見る人の自由に委ねたい。作家が単一の道順を指し示すのは
写真に対して失礼だ。僕はそう思う。
震災を絡める事で「ああ、そういう事ね」と一定方向に見られるのは
全く本意ではない。


チャリティを否定している訳では決して無い。だがそれは別の問題だ。
他の場所で、或いは一個人としてやる。個展に関しては別だ。


特に今回は、今まで以上に「記録する」事に徹したつもりだ。
生まれ故郷だからという「記憶」に頼ること無く、現在目の前にある
現実を記録する事に集中したつもりだ。
そうは言っても自分の癖みたいなものは出てしまうのだが、それでも
記録する事を意識して作業してきたのだ。それは最後まで徹底したい
と考えている。


今こうして僕が書いている事も、ある種の押し付けかも知れない。
でも個展のスタートに際し、どうしても書いておきたかった。
多くの人に見てもらい、色んな感想を頂けると嬉しいです。


とか言って、「なんだ。いつもと同じじゃないか。口程にもない」と
言われたりしてね。
それならそれでも良い。自分にできる事は、とりあえず全てやって
おきたいのだ。