determination

震災発生から4日が過ぎた。僕は旅を取り止め、ずっと家の中にいた。
最初の2日間は安否確認。テレビとパソコンと電話の前にいた。
とは言っても何の情報も入ってこないし、むやみに連絡をとっても
電力や電話回線の無駄遣いになるだけなので、ひたすら部屋の中で
じっとしていた。


2日目の夕方には実家のライフラインが復旧し、3日目の朝には内陸に
住む親戚や知人とも連絡が取れたので少し安心したが、沿岸に住む
知り合いとは依然連絡が取れていない。引き続き安否情報を確認している
状態である。


3日目、すなわち昨日の夜、から暗室を再開した。
津波映像の衝撃は余りにも大きかった。生まれ育ち、何度も撮り歩いた
町がことごとく押しつぶされていく。そこに暮らしている人達に比べれば
僕などまるで比べものにならないが、それでも辛かった。
こんな時期に釜石の写真を発表する事に疑問を感じ、個展の内容を
変更しようかとも思った。


だが、考えが変わった。何が何でも完成して発表しよう、と思うようになった。
「使命感」などという偉そうなものでは決してないし、そもそもそんな
大層な写真でもない。あくまで僕の個人的な欲求に過ぎないのだが、
とにかく何が何でもこの写真だけは完成させなければ、と思ったのだ。


ま、そんな決意や思い入れなど、暗室に入ればコロッと忘れてしまうのだが。
ただ、目の前のネガに集中するだけだ。