全てを夏のせいにして

ホテルで、朝から声を荒げてしまった。
そもそもはこっちにも責任があるのだが、2日間泊まっていたのに
今さら言うか?ってな出来事だった。
のらりくらりとした応対にもイラついた。もうええ、いつまでも
こんなとこに居られるか、と早々に出発した。
....いま考えると何を怒っていたのやら。


とにかく、旅先では滅多にない不機嫌な状態で一日が始まった。
憮然としつつ列車に乗る。今日は撮影しながら小松空港まで行くのだ。
よく考えれば無茶な予定である。移動距離もそこそこあるし、
列車の本数もあまり無い。大して確認もせずにバタバタと決めて
しまったのだ。だから夏はダメなんだよなー、と自分に言い訳する。


何とかたくさん撮ろうと列車を降り、大慌てで街中を歩き回るが、
そもそもそんな状態で撮れる訳が無い。ダメだー、と駅に戻るが
次の列車がなかなか来ない。その繰り返し。バタバタバタバタとした
時間が続く。


それでも福井に着いたあたりから気持ちが落ち着き、撮影に集中し始めた。
が、えちぜん鉄道の駅員の態度にまたムカッとしてしまう。
何してるんだろ、と思いつつもなかなか気持ちが戻らない。


そんな風にイライラバタバタとしつつ撮影していた僕に、とどめが
刺された。ホテルから携帯に連絡が入ったのだ。
「部屋に忘れ物してましたよー」
....何をしてたのだ、俺は。結局全て、自分が悪いのだ。


夜8時の飛行機で羽田へ。飛行機を降りた瞬間にガクッと力が抜ける。
こんな旅もあるんだなあ。夏だからか?


全てを夏のせいにして、最初から最後までどこかおかしかった旅を終えた。