栄冠は誰に輝く

「今日は2回戦ですねー」バイト先で話題が出る。甲子園大会だ。
「いよいよですね、横浜隼人
「.....いや、僕は花巻東だ」


岩手のチームが1回戦から注目されるなんて、思いもしなかった。
かつては10年以上1回戦負け、勝ってもニュースで字幕が出るだけ。
それが当たり前だと思っていた。
僕もちょっとだけ野球部にいたが、甲子園優勝なんて夢のまた夢、
雲の上の、そのまた更に上の話だった。


高校3年の時、PL学園と練習試合があった。
僕らの同い年にはあのKKコンビ、清原和博桑田真澄がいる。
試合前日、一塁手をやっていたキャプテンが、写真部にこんな頼み事をしていた。
「一塁に清原か桑田が来たら、撮っといて!将来、自分の子供に見せるんだ」


かくして彼は、清原との2ショットを手に入れた。
彼はその写真を全紙大に伸ばしてもらい、嬉しそうに持って帰ったのである。
....それじゃ、勝てる訳が無いよな。
そんなレベルだった。


その事を考えると、隔世の感がある。
「北国は雪のせいで練習時間が少ないから勝てないんだ」とか、
あんなの、嘘だったなあ。