袖すり合うも

朝6時半頃の新幹線で盛岡へ。
東京から盛岡まで、ずっと雪景色が
続く。これは初めて見る風景だ。


仙台から隣におじさんが座った。
どんどん話しかけてくる。
と言うか、一方的に話し続ける。
あの、僕、本読んでるんですけど。


そのうち隣で「プシュッ」と音が。
おっさん、朝から飲んどるんかい!
参ったなあ、話が止まらないぞ。


案の定ガソリンが入ったおじさんは
しゃべるしゃべる。勘弁してよ、と
思ってたところで盛岡に着く。


逃げるように席を立った僕は、ここで
初めておじさんの顔を見てハッとした。
ニコニコ笑ったおじさんの顔は、
25年前に亡くなった僕の祖父に
似ていたからだ。


たちまち後悔する。ああ、もう少し
ちゃんと話を聞けばよかったなあ。
別人だけど、帰省する時に出会う
なんて、何かしら縁があったのかも。


札幌まで行くというおじさんの無事を、
遅ればせながら祈ったのである。
ごめんなー。