面倒な男

カメラを肩から下げて歩くのが苦手だ。カメラマンのくせに。
「俺、写真撮ってるんだぜ」という態度をむき出しにするのがなんか
照れくさい。なので、一眼レフでもストラップを右手にぐるぐる巻いて、
体の後ろに隠すようにしながら撮っている。


コンパクトなGRを使うようになってからは、普段はジーンズの
ポケットに突っ込んでおいて、パッと撮り、サッと隠している。
たまに他人の視線に気が付いて、怯えたりして。
「いやややや、これは盗撮では無いですから。やややや、後ろめたい
 事はなーんにも無いですなら、やややや」
要は、単なる小心者って事ですな。


それではいかんなあと思い、こないだカメラを首から下げてみた。
男一匹写真家一代、照れてどうする。来るなら来い。カメラは刀だ鉄砲だ。
そう思い、デジタルGRにネックストラップを付けて、首にぶら下げてみた。
さあ来い。撮ったるで!....でも、一週間でやめた。


確かに、手に持つより首から下げてる方が撮りやすい。
撮りたい時にすぐシャッターが切れる。GRだと見かけもあんまり
目立たないし、何の問題も無いのである。でもやめた。なぜか。


何かと体にぶつかるのがうっとうしい。食べたり飲んだりする時に
邪魔だ。かと言って外すと、長いストラップが邪魔だ。かばんにしまう時に、
小さいカメラにストラップをくるくると巻き付けるのがなんかやだ。
....照れくさい訳でも小心者な訳でもない。単にめんどくさい
だけなんだな、俺。


何をやる時でも障害になる、僕の大きな欠点がまた顔を出しているのである。