After the Gold Rush

いま、YMOが、熱い。


「おいコラ。お前、30年前から同じ事言ってるじゃねえか。
ずーっと、飽きもせずずーっと、CDだの昔録ったライブテープだの
聴いてさ。聴いてるうちに何を盛り上がったんだか、押し入れから
ローランドJuno-106取り出して、夜中に弾いとるやん。ずーっと。
しかも何でベースのパートやねん」


....昔、ベース担当だったんですよ。
それはともかく、最近のライブ演奏がすごく良い。何故かと言うとそれが

ありとあらゆる過去の音楽を内包しつつ、次に行こうとする演奏だからだ。
そこに含まれているのは最新の英米北欧の音楽だったり、60〜70年代
のソウルやR&Bだったり、それ以前のガーシュウィンだったり、
更にはバッハやドビュッシーだったりする。
長年のファンとしての贔屓目を差し引いても、すごく面白い。


そして(これが大事)、昔よりずっと音が艶っぽい。
熟練していくと勢いや艶っぽさが失せていく、というのは実は間違いで、
熟練を極めていくと、とてつもなくワイルドで艶っぽくなるのだと言う事が、
この演奏を聴くと分かる。


何人かの先輩写真家達の、現在の仕事にもそれを感じる事が多く有り、
「かっこいいな。こうなりてえな」と高校生みたいな事を
呟いてしまうのである。


10代が終わる頃、「あーあ。もう面白い事なんか無いんだな」と
思った事がある。輝いていた時間はおしまい。後は順応と適応と対応だけ。
そんな風に思っていた。でも、そうではなかった。
歳を取らなきゃ分からない事がたくさんある。取った方が面白い。
日々それを実感するのである。


今日も僕は、30年前の音楽を聴いてウンウン唸っている。