以前「よく吠える犬」の話を書いた。やたらと吠えるので飼い主に
ボールをくわえさせられた犬の話だが、この犬が相変わらず面白い。
基本的なパターンは、まずタタタタタと門の所まで走ってきて、
「ワンワンワン」と吠える。ここで「あ、怒られる」と思うのだろうか、
またスタタタタと小屋まで戻って、黄色いスポンジボールをくわえて帰ってくる。
それで僕を見て、「どうだっ」とばかりにボールを見せつけるのである。
「僕はもう吠えないぞ」、と。結局、毎日吠えてるんだけどね。
これだけでも愛嬌があって可笑しいのだが、時々色んな事を
しでかすようになった。
ある時は出てくる途中で自分のリードに足を引っかけて顔から転び、
またある時はなぜか隣りの家の柵によじ上ろうとして足を滑らせた。
かと思うと何もせずにポヤーッとたたずんでいる事もあり、
何をやってくれるかまったく予想がつかないのである。
今日はというと、いつもと違うボールをくわえていた。
が、硬いボールだったのでくわえきれず、落としてしまった。
落とした際に自分で自分の口元でも噛んでしまったのか、
黙って後ろを向くと、顔から前のめりに倒れ込んでしまった。
そのままピクリとも動かず。心が折れたのか？
一生懸命だけど、おっちょこちょい。
頑張っているけど、なんか上手くいかない。何とも憎めない犬だ。
この犬に会うのが、最近の僕のささやかな楽しみである。
