ふたたび

3連休。昨日と一昨日は写真のセレクトを
していた。2014〜2020年3月までの、
旅の写真。去年2017年の途中くらいまで
やって、そこで止まってたやつだ。
2日間ほぼ部屋に篭りきりで、ようやく
1回目のセレクトが終わった。


「こんなの撮ってたっけ?」というのは
あまり無くて、撮った瞬間の事を結構
覚えていた。歩いた経路とか、撮影して
いる時の心境(「撮れねえなあ」)とか、
昨日の事のように覚えていた。


それと今回強く感じたのは僕の心境の変化
だった。2017年前半までの写真には喜びが
あって、旅先でワクワクしているのが
伝わってくる。「撮れねえなあ」と思い
ながらも、どこかでそれを楽しんでいる。
それは写真を始めた時からずっと持っていた
感覚だ。


対してそれ以降、特に2018年以降の写真
からは旅先での無邪気な喜びが、少しずつ
消え始めている事に気付いた。
それが一番顕著に現れたのが2019年の北陸
撮影だ。


当時はこの旅での写真を核にして個展を
やろうと思っていたが、何度見返しても残る
ものが少なかった。それよりも盛岡で撮った
写真の方が良かったので、それを中心に置いて
2020年に「終りの町」という展示にまとめた
のである。


今見ても、この北陸での写真は良くない。
町は素晴らしいのに色々見逃しているし、
固定観念に囚われている。
もったいない事をした。


2018〜2019年はカラーフィルムで盛岡や川崎、
横浜を撮ってそれを展示していた。
そのきっかけとなったのは2017年夏に骨折して
動けなくなった事と、2018年に起きた幾つかの
個人的な出来事である。
自分に鞭を打ちながら、何かにしがみ付きながら
写真を続けていた時期だ。
もしかするとその頃の自分の写真は全て、
喜びを失っていたかも知れない。


旅先での心境は明らかに変わった。
旅をするのは相変わらず好きだけれど、そこで
写真を撮る事に喜びを感じられなくなっていた。
なのでその感覚が戻ってくるまでは生活圏を
撮ろうと考えたのである。
もっとも、岩手での新しい生活に適応しなければ
ならなかったし、コロナがあったので旅に
出たくても出られなくなったけど、それが
無くても多分旅には出なかったと思う。


こないだ久慈で撮影した時、「この感じ、
久しぶりだなあ」と感じてすごく楽しかった。
その時は盛岡以外を撮りに行くのが久々だった
からだろうなと思ったのだが、今回この
セレクトをやってみて分かった。
僕、旅に戻れそうです。
旅に出て撮る楽しさを思い出しました。


岩手を撮りたいからしばらくは近場だけれど、
少しずつ生活圏から出て行こうと思います。