Diffused

朝起きてすぐに家の用事をやる。
顔を洗い朝食を食べて歯を磨き、
天気予報を見る。
「3時から雨か…」


空を見る。遠くに真っ黒い雲が見えた。
3時より前に降りそうだな、どうしよう
かな、と思ったが撮影に行く事にした。
天気が良いうちに少しでも撮ろう。
いや、雨なら雨で盛岡は結構面白いぞ。


10時半の電車に乗り、盛岡駅の1つ前、
仙北町駅で降りた。
少しでも早く撮影を始めたかったからだが、
ここはもう何回も撮ってるよなあ。
まあ、いいか。


歩く道順もいつも大体同じなので、今日は
逆のルートで廻る事にした。既にちょっと
雨がぱらついて来たが、光がすごく良い。
あら、面白いぞ。
普段撮らない路地にも結構入って行ったが
何を見ても面白い。結構撮れた。
途中、何度か虹を見た。勿論撮ったが、
遠かったので上手く撮れてるかどうか。


しばらくしたら雨が激しくなってきた。
傘は持っているけど出すのが面倒だな。
ちょうど肴町まで来たからいつもの「車門」
でコーヒーとトーストでも、と思ったら
急に晴れて強い日射しが差した。
「あらあらあらあら」
これはまた面白い景色になったぞ。
休憩するのはやめて、撮影を再開する。


いやあ面白い。盛岡の光って、今が冬
だからというのもあるが関東より少し角度
があるというか、街への当たり方が違う。
なおかつごくごく薄いディフューザー
かけたような、わずかに遮って拡散させた
ような感じがあって、見ていてすごく
惹かれるものがある。


僕は日本中どこに行っても、そういう光
に引き寄せられるようだ。
なぜ惹かれるのかなと思っていたが、
北国育ちというのも影響しているのかも
しれない。
岩手に帰って来てからそういう光に
出会う機会が増えたように感じる。


だからと言って「おお、これはなんぼでも
撮れるぞ。大漁じゃあ!」と喜んでいる
訳でもなくて、「ああ。またこればかり
撮っている。同じだ。パターンにはまって
いる。いかんいかん。ああ」と思いながら
撮っている事が多い。なかなか難しい。


喜んだり頭を抱えたりしながら、盛岡の
南から北まで歩いた。まあまあ撮れた。
量を撮った事だけ自分を褒めよう。
出来は、知らん。