始まったな

毎朝5時半に起きて7時の電車に乗る。
通勤時間は横浜の頃の倍になったが、
始業時間が30分遅いので起きる時間も
家を出る時間もほとんど変わらない。


電車は毎日混んでいる。学生が多い。
駅からバスに乗り8時少し前に大学に着く。
理工学部前のコンビニでコーヒーを買い、
居室で飲む。8時半から仕事を始める。


僕の居る場所は地域連携推進センターと
言って、かつて通っていた化学棟の裏に
ある。そこで一人で実験したり資料を
作ったりしているのであるが、実験器具も
まだまだ揃ってないし分からない事も多い
ので、その度に化学棟に行って先生方や
学生さんにお世話になっている。


学生さんからすると、僕は親かそれ以上に
歳の離れた謎のオッさんで、多分「なんだ
こいつ」と思われているだろう。
その上、薬品や器具が入荷する度に彼らが
僕の所まで持って来てくれているので、
「あいつ、めんどくせえなあ」と思われて
いるかも知れない。


それでも、みんないつも穏やかで優しい。
時々話しかけにくい時もあるが、それは
まあ、誰だってある。
自分が同じ年齢の時より遥かにしっかりして
いて、頭が下がる。


出来上がった組織の中に一人で入っていく
のは難しいし、気を遣う。何から何まで全て
一人でやれたら楽なのにな、と思う事もある。
実績を残さないと誰からも相手にされなく
なるぞ、と締め付けられるような思い
をする事もよくある。


とは言え、結構慣れているんだよな俺。
会社に居た頃からそういう仕事が多かった。
写真でも、スチールの仕事をした時はそんな
感じだった。既に確立したグループの中に
一人で入って行く、という役割だ。
テーマやノルマはあるけど、フォローは無い。


そんな経験があったから、多少冷たい扱いを
受けても気にしないし、昔ほど自分の一挙手
一投足に神経質になる事も無くなった。
「そんなこと気にしててもしょうがない。
とにかく仕事をしよう」と思うのだ。


今日もそんな仕事を終えて帰ってきた。
家に帰るとまた別の仕事があるのだが、
こっちの方が大変かも知れない。
家族が相手だとなかなか。
いよいよ岩手の生活が始まったんだな、と
思うのである。