日曜音楽家

長かった年末年始体制も今日でおしまい。
もうええ。もうここには居たくない。
さっさと帰らせてもらう。


家に帰って作業。ここ数日はiMacの前で
ひたすら作曲をしていた。
と言っても楽器は全く触っていない。
友人の写真家がスライドショーで使う音楽を、
Macのソフト「Garage Band」で作っていたのだ。


ショーの主催者にBGMを自作して、と頼まれたが
何をどうすればよいのか困っていたので、このソフトを
以前から遊びがてら使ってた僕が「では俺が」
と引き受けた訳である。


「スライドに自分で音楽付けといてー」と写真家に
頼む人もどうかと思うが、それを「じゃあ俺、
代わりにやるわー」と引き受ける僕もどうかしている。
後からちょっと反省したが、もう遅い。


一応説明するとこのソフトは、自分で楽器を弾いて
録音する事もできるが、大抵はプリセットされた
ドラムやらベースやらのパターンを組み合わせて
曲に仕上げるのである。つまりは他人が作ったフレーズを
組み合わせるだけなのだが、出来上がったものは
なぜか、かつて自分で作った曲の雰囲気に似てくる。
不思議なものだ。


画像を見ながら曲を作るというのは高校の文化祭以来で、
なかなか楽しかった。ネオアコっぽいギターで始まり
ドラムとベースとピアノはソウル的に、途中で突然入る
ストリングスはビートルズ風味、さらにある場面では
テクノっぽく。
自分の少ない引き出しを、全開にして作った。
各パートのバランスとエフェクトを調整して完成。
うむ、なかなか。でもまあ、素人だよな。


写真をやる前は、部屋にたくさん機材を置いて、
暇さえあれば曲を作っていた。いずれは自主制作で
CDを作りたいな、なんて思いながら。
気分だけはいっぱしのミュージシャンだった。
でも今聴くと、僕の作る音はやっぱり素人だ。
何年やってもピンと来なかった理由が、今はよく分かる。
本気でやってる人達とは、深くて大きな差があるのだ。
その違いが今は分かる。多分写真家をやってきたからだ。
一生懸命作ったけどね。


とにかく1曲完成した。幸い、友人からも主催者からも
OKが出た。ホッとした。写真では味わえない緊張感だった。
まさかねえ。こんな形で人前に音楽を出す事になるとはなあ。
と言うか。まさか音楽を出す前に写真集を出すとはねえ。