さよなら釜石の犬

昨日の夜、岩手に帰ってきた。今朝は9時に待ち合わせて、友達の
車で釜石に向かった。


まずは僕が住んでいた野田、小佐野を撮る。この辺は内陸なので津波
影響は無い。信号は付いたり付かなかったりだが、それ以外はほぼ代わり無し。
ホッとして、思う存分撮る。やっぱり面白い。


次は中妻へ。ここには6年間撮り続けた「釜石の犬」がいる。
近くで車を停めてもらい、ゆっくり近付いていった。
だが、犬の姿は無かった。小屋もきれいに片付けられ、ただの駐車場
に戻っていた。


「もう、だいぶ歳だったしな。震災の前に亡くなってたのかもな」
そう思ったが、何かがこみ上げて来る。そうか。お前もいなくなったか。
何も無くなった駐車場をひたすら撮る。撮り終えてから、いつものように
お辞儀をして(ありがとうございました)、手を合わせる。さようなら。


それから街の中心部に入り、さらに沿岸の両石、鵜住居、大槌、山田、
宮古へと向かった。
そこは、全ての言葉を失う場所だった。